仕 事
一、せねばならぬ仕事ならば、気軽く、潔くすべし。何ごともこころよく
手を下せば、よく捗りて、かつ心身の疲労少なし。イヤと思えば、
思うほど何事も億劫になりて、下手をするなり
一、事に着手するに当たり、退いてまず動機を正したい。事を始むるは
何のためか、名を売るためか、利を得るためか。誇るためか、他を
辱しむるためか。動機正しくば成敗をかえりみず敢然とやれ
一、才も力もなく、こんなつまらぬわが身なれば、どうして世のため、人
のために尽くすことができよう、と自らへりくだるもよい。しかし、
そのままの心を支えながら日々の最善を続けることこそ世のため人の
ためまたわがため大事業なるなり
一、一旦事に当たらば、全力を以てなし遂げんことを努むべし。十分のも
のに十二分の力を入れれば必ず功を成すべし。全力を傾注するだけの
価なきことならば始むるに及ばず
新渡戸 稲造
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